試合エンタメ度

【WEリーグ】AC長野パルセイロ・レディース、漫画みたいな驚きの吸収力

1月7日のWEリーグ第8節

サンフレッチェ広島レジーナ vs AC長野パルセイロ・レディース

広島は個人と組織のバランスの取れた良いフットボール。

バランスの良いボール回しと

個人のスキルを活かした突破から

チャンスを作る

長野は鏡フットボールを習得しつつある?!

鏡フットボールとは

WEリーグの試合を見ていると、次の対戦相手の戦術を1週間かけて真似しながら対抗策を練習している間に鏡のように受けて立つ鏡ディフェンスができるようになるだけでなく、相手の戦術を同じように演じてしまう鏡フットボールも稀に見られるような気がしている。

漫画に例えると

主人公が相手の技を見切る(鏡ディフェンス)

だけでなく、

その相手の技を使ってしまう(鏡フットボール)

そんなイメージ

参考

この試合も広島のお株を奪うような「バランスの良いパス回し」を魅せる。

まさに「鏡フットボール」、長野の吸収力に驚いた。

長野の驚きの吸収力は、

第6節(12月10日)のN相模原戦では、N相模原の「ぐるポンフットボール」を吸収し「ぐるポンフットボール」でゴールを決めて勝っている。

第7節(12月25日)のINAC神戸戦では、神戸の「全員ディフェンダー全員アタッカーのスペース大作戦」に対して

(神戸)前にスペースがあれば誰でもドリブルでどんどん運び

→(長野)「超コンパクトのハイライン」でスペースを消す

(神戸)裏にスペースがあれば誰かが走りボールを送る

→(長野)「超コンパクトのハイライン」でオフサイドを狙う

まさに

(神戸)スペース大作戦

→(長野)鏡ディフェンスで対応

終了間際に惜しくもオウンゴールで負けたが、このゴールは神戸の「意地」が生んだゴールと言っても良いくらい鏡ディフェンスが機能していた。

そして今回の広島戦では、広島以上にバランスの良いフットボールを展開していて、びっくりした。

単なる対策を越えた漫画みたいな長野の驚きの吸収力が生み出す「鏡フットボール」は今後も継続されるのか?!

期待したいのは「鏡」からのグレードアップ!

「鏡」は目の前の対戦相手の技しか使えないけど、「写真・映像」なら「保存・再現」が可能。

これまでの対戦相手のフットボールを吸収(保存)し、どんな相手でも利用(再現)できるようなフットボール

「イメージ(写真・映像)・フットボール」

を期待したくなる。

試合結果

前半はどちらかと言えば長野の鏡フットボールが優勢。

広島は三笘選手をお手本にする中嶋淑乃選手がドリブルでゴール前まで切り込みビックチャンスを2回作ったがゴールならず。

終盤はお互いバランスを崩して点を取りに行く展開に持ち込むもゴールは決まらずスコアレスドローとなった。

WEリーグ:順位とフットボールの印象
順位チーム勝点試合フットボールの印象
1INAC神戸197全員ディフェンダー全員アタッカーのスペース大作戦
2浦和L187パフェ・オーケストラ・フットボール
3マイ仙台148プレーの自由度が高そう、チームのまとまりがカギか?!
4東京NB137緑茶ヒーリングBGMフットボール
5N相模原107「狭いエリアで数人の選手がポンポン繋ぐ(ぐるポンフットボール)」にトライ。個人の色が出始める。
6大宮V107「横に広く展開」にチャレンジ
7EL埼玉97守備「鏡ディフェンス」の構築優先。攻撃の色は模索中。
8S広島R87バランス良いフットボール
9千葉L57縦に速い新幹線アタックから山手線・中央線(総武線)ポゼッションへ修正を模索中、鉄道フットボール
10AC長野47守備「鏡ディフェンス」の構築優先。攻撃の色は模索中。
11新潟L17守備の構築優先。攻撃の色は模索中。
WEリーグの特色(個人的な印象)

日本人が好みそうな「柔らかいトラップ、丁寧なパス、繊細なドリブル」をする選手が多い(というかほぼ全員のように感じる)ので、狭い局面でのパス&ムーブのリズムが日本人の趣向に合うのではないか。

どのチームも急激に守備能力が上がり圧倒的な力の差を感じなくなった。

キック力が弱いことのプラス面も大きい。それはピッチ外にボールが出ることが少なく試合の流れが切れないことに繋がっている。試合が途切れないのはエンタメとして大きなアドバンテージ。

そこで気になるのは試合が途切れず交代選手がなかなかピッチに入れない場面。監督は交代のタイミングが難しいそう。

WEリーグ

個人的なフットボールの見方

フットボールを即興的な芸術作品として印象的に見る

フットボール印象派

例えると絵の場合は作品が醸し出す雰囲気を楽しみ、漫画は絵やストーリーの展開を雰囲気で楽しむ感じ。芸術作品の雰囲気を独自の感性で楽しむ印象派

参考にフットボールを作品や芸術として捉えている人たちの言葉を挙げてみる。

作品

Jリーグ野々村チェアマンはフットボールの試合を「作品」と表現

「サッカーは『作品』。質の高いプレー、スタジアムの空気、サポーターの熱量が一体となった、魅力的な作品をたくさんつくることが、僕の挑戦」

芸術・アート

長谷部選手は「全く同じシーンがない芸術・アート」と表現

質問)周りの選手を生かす面白さってどこにありますか

サッカーの醍醐味って一人じゃなくて

周りの選手の兼ね合いというか

動きとか生かす生かされるの中で

そこになんか変な話

芸術じゃないですけどアートじゃないんですけど

なんかそういうのがすごく含まれてる気がして

全く同じシーンがないんですよね

35年ぐらいサッカーやってるんですけど

1回も同じシーンがないのがまた面白いですね