試合エンタメ度

東京Vベレーザの作戦勝ち「癒し」より「仕掛け」

WEリーグの第9節(3月5日)

ちふれASエルフェン埼玉 vs 日テレ・東京ヴェルディベレーザ

東京Vベレーザの「緑茶ヒーリングBGMフットボール」は

まるでヒーリングミュージックが流れているかのように

リラックスしたドリブル&パスで試合を落ち着つかせ

さらに緑茶をサービスして対戦相手も落ち着かせて勢いを奪う

そのフットボールで1月28日に行われた皇后杯の決勝では現在WEリーグの首位を走るINAC神戸に快勝し皇后杯チャンピオンに輝いている。

対するエルフェン埼玉は「鏡ディフェンス」を特色としている。

その「鏡ディフェンス」について12月10日に行われたWEリーグ第6節のコメント

WEリーグでは

鏡ディフェンス

の能力が優れていると仮定してみたい。

WEリーグの試合を見ていると、次の対戦相手の戦術を1週間かけて真似しながら対抗策を練習している間に鏡のように受けて立つ鏡ディフェンスができるようになるだけでなく、相手の戦術を同じように演じてしまう鏡フットボールも稀に見かける気がしている。

漫画に例えると

主人公が相手の技を見切る(鏡ディフェンス)

だけでなく、

その相手の技を使ってしまう(鏡フットボール)

そんなイメージ

埼玉はその鏡ディフェンスで試合に入った。

※参考:エルフェン埼玉、鏡ディフェンス

1か月以上の中断期間を経て再開した今節!

エルフェン埼玉は東京Vベレーザの「緑茶ヒーリングBGMフットボール」の対策を入念に行ってきたはず。

ところがどっこい

始まってみると

ヒーリングミュージックも流れない

緑茶も出てこない

あれ?

POP?ロック?

メロンソーダらしき飲み物が次々と提供される。

エルフェン埼玉は、面食らったかもしれない。

試合を落ち着かせる癒しのドリブル&パスより

試合を動かす仕掛けのドリブル&パス

これで躍動したのが北村選手。

緑茶ヒーリングBGMフットボールでは、北村選手の色が出にくかったのかもしれないが、「仕掛けのドリブル&パス」では持ち味を発揮し先制点を決めた。

もちろん試合中ずっと「仕掛け」るのは体力的にも限界があるので、疲れが出てくる終盤は「緑茶ヒーリングフットボール」で試合を落ち着かせることもしていた。

この作戦が功を奏して東京Vベレーザの戦略勝ち。

ただWEリーグのチームは「鏡ディフェンス」をはじめとする対策能力が高いと感じる。

1週間あれば相手のフットボールを真似ながら対抗策を練習しているうちに、自分たちが相手のフットボールを出来てしまうという現象を、前期は「長野の驚きの吸収力」で目の当たりにしてきた。

すぐに対策されてしまうかもしれない。

それもWEリーグの面白さ。

次の試合、東京Vベレーザがどんな戦い方をするのか、非常に楽しみ。

WEリーグ:順位とフットボールの印象
順位チーム勝点試合フットボールの印象
1INAC神戸228全員ディフェンダー全員アタッカーのスペース大作戦
2浦和L218パフェ・オーケストラ・フットボール
3東京NB168緑茶ヒーリングBGMフットボール
4マイ仙台149プレーの自由度が高そう、チームのまとまりがカギか?!
5N相模原138「狭いエリアで数人の選手がポンポン繋ぐ(ぐるポンフットボール)」にトライ。個人の色が出始める。
6大宮V118「横に広く展開」にチャレンジ
7EL埼玉98守備「鏡ディフェンス」の構築優先。攻撃の色は模索中。
8S広島R87バランス良いフットボール
9AC長野58鏡フットボールを習得しつつある?!
10千葉L58縦に速い新幹線アタックから山手線・中央線(総武線)ポゼッションへ修正を模索中、鉄道フットボール
11新潟L18守備の構築優先。攻撃の色は模索中。
WEリーグの特色(個人的な印象)

日本人が好みそうな「柔らかいトラップ、丁寧なパス、繊細なドリブル」をする選手が多い(というかほぼ全員のように感じる)ので、狭い局面でのパス&ムーブのリズムが日本人の趣向に合うのではないか。

どのチームも急激に守備能力が上がり圧倒的な力の差を感じなくなった。

キック力が弱いことのプラス面も大きい。それはピッチ外にボールが出ることが少なく試合の流れが切れないことに繋がっている。試合が途切れないのはエンタメとして大きなアドバンテージ。

そこで気になるのは試合が途切れず交代選手がなかなかピッチに入れない場面。監督は交代のタイミングが難しいそう。

WEリーグ

個人的なフットボールの見方

フットボールを即興的な芸術作品として印象的に見る

フットボール印象派

例えると絵の場合は作品が醸し出す雰囲気を楽しみ、漫画は絵やストーリーの展開を雰囲気で楽しむ感じ。芸術作品の雰囲気を独自の感性で楽しむ印象派

参考にフットボールを作品や芸術として捉えている人たちの言葉を挙げてみる。

作品

Jリーグ野々村チェアマンはフットボールの試合を「作品」と表現

「サッカーは『作品』。質の高いプレー、スタジアムの空気、サポーターの熱量が一体となった、魅力的な作品をたくさんつくることが、僕の挑戦」

芸術・アート

長谷部選手は「全く同じシーンがない芸術・アート」と表現

質問)周りの選手を生かす面白さってどこにありますか

サッカーの醍醐味って一人じゃなくて

周りの選手の兼ね合いというか

動きとか生かす生かされるの中で

そこになんか変な話

芸術じゃないですけどアートじゃないんですけど

なんかそういうのがすごく含まれてる気がして

全く同じシーンがないんですよね

35年ぐらいサッカーやってるんですけど

1回も同じシーンがないのがまた面白いですね