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【バスケ天皇杯決勝】千葉ジェッツとドイツの「激しさの技術」

有明コロシアムでの天皇杯決勝(3月12日)

千葉ジェッツ vs 琉球ゴールデンキングス

緊迫感と高揚感が溢れた!

千葉ジェッツが走り琉球が追いかける展開で、琉球が追いつきそうになると

富樫&原選手が

”流れ”を渡さない

”ここぞ”という勝負所で

シュートを決めきったシーンは、特別に印象的だった。

千葉ジェッツの勝負強さが引き立つゲームでしたが、個人的に興味深く感じているのが

千葉ジェッツの「激しさ」

以前から千葉ジェッツのチームカラーは「熱さ」だと感じていて、「気持ち」が前面に出る「激しいバトル」が印象的でした。

しかし、ヘッドコーチがジョン・パトリックに変わった今シーズンは、「激しさ」は変わらないが以前とどこか違う気がしている。

そこでパトリックHCについて調べてみるとドイツのブンデスリーガで、ヘッドコーチの経験を積み素晴らしい成績を残しているようです。

シーズンチームリーグ順位HC:パトリック
2002–03ゲッティンゲンブンデス2部11th就任以前
2003–047thパトリック
2004–055th
2005–06トヨタ自動車
アルバルク
JBLスーパー
リーグ
優勝パトリック
2006–07ゲッティンゲンブンデス2部1stパトリック
2007–08ブンデス1部14th
2008–095th
2009–107th
2010–117th
2011–1218th退任以降
ヴュルツブルクブンデス1部4thパトリック
2012–13ルートヴィヒスブルクブンデス1部17th就任以前
2013–148thパトリック
2014–158th
2015–166th
2016–178th
2017–183rd
2018–1910th
2019–202nd
2020–213rd
2021–224th
2022-23千葉ジェッツB1パトリック

パトリックHCは、「Trainer des Jahres der Basketball-Bundesliga(ブンデスリーガのCoach of the Year)」を3回受賞している。

※Jahr(ヤール):

そのドイツ繋がりで

ドイツの「激しさ」は「技術」

という仮説を連想的にひねり出してみた。

ドイツで連想されるワードが、とくにフットボールでは、

ドゥエル / ツヴァイカンプフ
Duell Zweikampf

対決、決闘

ドイツ語

zwei(ツヴァイ):2、2人

Kampf(カンプフ):ファイト

語源:ラテン語「campus:フィールド」

「バトルフィールド」のフィールド(campus)がバトル(Kampf)の意味に変わったようです。

ドイツブンデスリーガのフットボールクラブのツイートで見かけるフレーズが

ケンプフェン ウント ズィーゲン
kämpfen und siegen

闘って勝て(闘え そして 勝て)

kämpfen(ケンプフェン):戦う、格闘する

siegen(ズィーゲン):勝利する

Sieg(ズィーク):勝利

さらにドイツ語の勝利「Sieg(ズィーク)」を「椅子取りゲーム」と関連させてみた。

包囲→椅子取り→勝利

ドイツ語「Sieg」とスペルが似ている単語に、英語の「siege」とフランス語の「siège」があります。意味は「包囲」や「席」ですが英語では「席」の用法は廃れたようです。ドイツ語の「Sieg」がこれらの単語と関係しているかは不明ですが、仮に関係があるとすれば、「包囲した=勝利」または「席を取った=勝利」と関連させることができる。

英語:siege(シージ)

  • 包囲、包囲する
  • 席(廃語)

フランス語:siège(シエージュ)

  • 本部・本拠地
  • 包囲
  • 席・椅子

意味を繋げると「本部を包囲し椅子を取る」となる。

また「siège(シエージュ)」には「(教皇の)座」という意味もある。

英語の「siege」とフランス語の「siège」の語源を遡るとラテン語の「sedere(座る)」になります。

そこで参考に各言語の「sit(座る)」をリストアップ。

言語sit(座る)座らせる
スペイン語センタルセ(センタル)
sentarse
センタル
sentar
ポルトガル語センタール/センタールシ
sentar/sentar-se
センタール
sentar
イタリア語セデーレ/セデールシ
sedere/sedersi
セデーレ
sedere
フランス語サスワール
s’asseoir
アスワール
asseoir
英語シット
sit
オランダ語ズィッテン
zitten
ドイツ語ズィツ(エ)ン
sitzen
(注釈)「-se/-si/s’-」は「自分自身を」

ちなみに、この意味も廃れたようですが、英語の「siege」には「玉座」という意味もあったらしい。

kämpfen(ケンプフェン):決闘」して「siegen(ズィーゲン):勝利する」ゲームは「席を奪い合う格闘技」?

つまりドイツのフットボールは格闘技なのかもしれない。

日本では様々な格闘技が存在するが、ドイツの格闘技と言われると…、すぐには頭に浮かばない。

ドイツにとって代表的な格闘技がフットボールという位置づけなのだろうか?

いずれにしてもドイツでは「奪い合う格闘」の「技術」が大切!

もちろん「気持ち」も重要ですが、「格闘技」で常に「気持ちを前面に出した激しいプレー」をしていたら体力も持たないし危険すぎる。「格闘技」を「試合」として成立させるのは「お互いの奪い合う技術(格闘技術)」だと考えられる(加えてルールも大事)。

ドイツの格闘技フットボールでは日頃から「激しい格闘の技術」を磨く必要があるのでしょう。ドイツではボールを奪い合う「激しさ」は「技術」で、ドイツのバスケも格闘技的要素が強いと仮定した場合、パトリックHCがドイツでボールを奪い合う「激しさ」は「技術」であることを学んだとすれば千葉ジェッツに導入可能になる。

以前の千葉ジェッツでは「気持ちが前面に出た激しさ」が危ないファールになりそうな印象があったが、パトリックHCの千葉ジェッツでは、今のところその印象がない(ただ単に見ている試合の数が少ないだけかもしれないが)。

繰り返しまとめると

フットボールは格闘技というドイツの

ケンプフェン ウント ズィーゲン
kämpfen und siegen

闘って勝て(闘え そして 勝て)

の傾向がバスケにもあり、ドイツの「激しくボールを奪い合う技術(格闘技術)」をパトリックHCが習得して千葉ジェッツに導入したと仮定すると、千葉ジェッツの今シーズンの「激しさ」が

「技術」としての「激しさ」

になるかもしれないと想像してみた。

今後千葉ジェッツを見る時は、その点にも注目して見たい。